特にASDの方に重点を置いた学術雑誌の記事を昨日見つけて、ツイッターに載せたんですが、けっこうニーズがありそうなので、こちらにもリンクを入れておきます。
最初のツイートのリンク先はPDFなので、必要なら全文を読むことができますよ。というか、そのほうがおすすめ。発達障害者の就労について、大まかな知識が得られます。
特に、精神障害者雇用を検討しておられる経営者の方、人事の方はご一読ください。「発達障害って何?」という方でもかなり参考になるはずです。
「発達障害者の就労上の困難性と具体的方策」
日本労働研究雑誌の2017年8月号(No.685)に掲載の論文「発達障害者の就労上の困難性と具体的対策」です。
論文 発達障害者の就労上の困難性と具体的対策|日本労働研究雑誌2017年8月号(No.685)|https://t.co/fDtzPozmeO
— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
発達障害者を雇用して生じた問題
“表1 発達障害者を雇用して生じた問題
・上司や同僚が言ったことが理解できない
・相手にうまく伝えることができない
・好ましくない言語表現を表し,相手を不快な思いにさせてしまう
・曖昧な言動は理解できない
・相手の気持ちを無視して自分の好きなことだけをしゃべり続ける— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
・自分勝手な行動をしてしまって,周りから嫌がられる
・感情的になりやすく,かんしゃくを起こす
・場の空気が読めない人たちが多いため,人間関係に支障を来してしまう”— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
発達障害者の離職理由
“表 2 発達障害者の離職理由
・仕事がつまらなかった
・人間関係で問題を抱えた
・雇用主に自分の障害を理解してもらえなかった
・普通の人の感覚を身につけさせようとされ精神的なダメージを受けた
・「障害など関係ない,努力してなおせ」と言われ重圧になった
・会社でいじめを受けた— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
・会社の業務,人間関係が出来なかった
・仕事をするのが遅いので向かなかった
・自分に合わない仕事だった
・仕事の技術面で追いつかなかった
・人より時間がかかった
・簡単な作業が出来なかった
・期待に応えようと頑張ったが疲れた— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
・人間関係のややこしさ,指示の多さにパニックを引き起こした
・自分の能力では手に負えなかった
・自分のペースで働けなかった
・リストラにあった
・ストレスと体力的に続かなかった
・仕事のレベルアップができなかった
・いじめにあったり,無視されたりした “— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
就労に関連するソフトスキルとは
“表 3 就労に関連するソフトスキルとは [超ざっくり引用]
1.身だしなみ
2.時間の管理
3.余暇の使い方
4.日常的な家事労働を行う
5.対人関係(チームワーク),コミュニケーション
6.金銭管理
7.その他”— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
補足:ソフトスキル・ハードスキル
ちな、図を省略したけど、
・職務の遂行=ハードスキル
・職業生活遂行=ソフトスキル(上の表3ってリストの項目)
・日常生活の遂行=ライフスキル
だそうです。— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
アスペルガー症候群等のASD者に対する具体的就労支援対策
論文の3ページめからは
“Ⅲ アスペルガー症候群等のASD者に対する具体的就労支援対策”
まずはいろんな機関による支援事業のリストアップ&解説。
ちょっと待った、すごい詳しいぞ。まとまってるし。— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
“2 ASD 者に特化した就労支援の必要性
(1)支援者の専門性
(2)ASD者の職場定着において必要なこと
1)適切なジョブマッチング
2)仕事を行う上での合理的配慮— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
3)職場の同僚 ・ 上司に対する理解啓発支援
a)就労支援機関の利用
b)企業の人事担当者の研修
c)職場実習の導入
4)ASD者に有効な職業カウンセリングによるアセスメント
5)ワークシートによる職業ガイダンス
6)フォローアップ”
一部目次。要チェックだわ。— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
読んでいて気になったポイント
“しかしながら,発達障害者の場合,ソフトスキルの問題が主要な離職理由となっているように,仕事そのものよりも職業生活を営む前段階でのライフスキルが十分に獲得できていないことが課題となっている。
— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
よって,仕事に就く上での就労支援者と同様に,生活していく上での生活支援者も必要である。そこで,発達障害者が,日々生活していく上でどのような課題に直面し,どのような支援が必要かなどのアセスメントを行い,支援プログラムを検討する専門家が必要になる。”
— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
“ライフスキルカウンセラーやライフスキルサポーターといった専門職”(仮称)の存在があれば、”援助つきの自立(Supported Independence)”が図れるのでは、だってさ。
— 園生恵子 (@sonoukeikoADD) 2018年4月23日
かなり多くの方が見てくださって、拾ってきた身としてはうれしい限りです。
論文を書いた人
この論文の著者は、早稲田大学の梅永雄二(うめなが ゆうじ)教授。ご専門は発達障害児臨床心理学だそうです。博士(教育学) 筑波大学 特別支援教育。
おすすめの論文がありましたら、ぜひご紹介ください! (ツイッターなら @sonoukeikoADD でつぶやいていただければ、わりとすぐ反応します。)
追記:あとで読む
Working with People with Developmental Disabilities
医療従事者も含めた周囲の人が、(広義の)発達障害の人たちとどう接しどう支援していくべきかを論じています。日本にはこういう文書、ネット上にあるのだろうか。
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